一人の少女

彼女を初めて見たのは、3年くらい前だと思う。

いつも短いひらひらしたスカートを履き、急いでいるのか、走っていた。中学生か高校生と思うが、見かける時間は朝としてはちょっと遅めであったし、上述のような服装であったので、いわゆる制服着て朝8時とかから始まるような学校の生徒ではなかったのだろう。

太目とは言わないまでも、ちょっとぽっちゃりとした体つきだったが、思春期は太るものだし、それに、たいてい20歳くらいになると自然と痩せていくものだから、まあ、この子もそういう道筋をたどるのだろうと思っていたが、ダイエットのためなのか、とにかくいつも走っていたので、短いスカートから尻のパンツとむっちりとした太ももが見えて、この子のパンツが見えても全然うれしくないんだがとか、あとちょっとだけ痩せてからそのスカートを履いたほうがいいんじゃないのかとか、見かけるたびに思っていた。まあ通りがかりの無責任な言い草以外の何物でもない。

 

しばらく見なかったが、1年か1年半ぶり位に、彼女が祖母と思しき女性と朝歩いているところを見かけた。最初はちょっとわからなかったが、ヘアスタイルは変わっていなかったので、あの彼女だとわかった。すっきりと痩せていて、おやダイエット成功したんだなと思った。丸かった顔が瓜実になり、むっちりとした太ももはすっきりと形良くなっていて、ダイエット成功か、自分も見習いたいものだなどと思っていた。

 

半年ほど前か、彼女を見かけたときは、正直驚いた。痩せすぎていることに。昔の宮沢りえとか、最近では桐谷美玲が痩せすぎと騒がれていたが、そんな感じだった。祖母と歩いているときの頃にダイエットを止められなかったのか、それとも拒食症のような何らかのメンタル的な問題なのか、周りの人はどうしているのか、心配になるほどだった。

 

最近彼女を見かけた。骸骨だった。腕からも足からも骨の形がわかる。彼女の何かが壊れている。見てはいけないとまで思えるほど痩せていた。何が彼女をそうしてしまったのか。もう少し痩せてからそのスカートを履いたほうがいいのでは?と自分が過去に思っていたことを思い出した。そのような周囲の心無い感情が、彼女をそこまで追いつめてしまったのかもと思うと、自分を恥じた。

 

誰か彼女を救って欲しい。死の一歩前まで来ている彼女を助けてあげて欲しい。お前がやれよと言われるかもしれないが、自分には成す術がない。